異邦の騎士 島田荘司 著
あらすじ
”失われた過去の記憶が浮かび上がるにつれ、男はその断片的”事実”に戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺した男なのか?そしていま若い女との幸せな生活にしのび寄る新たな魔の手。記憶喪失の男を翻弄する怪事の背景は?蟻地獄にも似た罠から男は逃げられるか?希代の名探偵・御手洗潔の最初の事件。”
The First Line
”目が醒めてみるとベンチの上だった。”
島田荘司著『異邦の騎士』を読みました。
御手洗潔の最初の事件ということで、金田一耕助の最初の事件である「本陣殺人事件」みたいな本格ミステリをイメージしてたけど、この小説は御手洗潔が脇役になった、一人の記憶喪失の男の物語。
この男がどんどん悲劇に見舞われて、でも思い出せず純粋な感情で新たな日々を過ごす様が愛おしい。とにかくいい人。
最後は切なくも、御手洗潔の推理披露で締めくくられる。少し飛躍しつつも、さすがは名探偵。そして、明かされる男の正体。これぞ原点。
物語のどの場面も無駄がなくて、全てが結末に繋がっていく。トラックも斬新。
好み: ★★★★☆☆