小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

倒錯のロンド  折原一 著

 

倒錯のロンド (講談社文庫)

倒錯のロンド (講談社文庫)

 

 

あらすじ

”精魂こめて執筆し、受賞まちがいなしと自負した推理小説新人賞応募作が盗まれた!?――その"原作者"と"盗作者"の、緊迫の駆け引き。巧妙極まりない仕掛けとリフレインする謎が解き明かされたときの衝撃の真相。鬼才島田荘司氏が「驚嘆すべき傑作」と称賛した、本格推理の俊英による渾身の長編推理小説。”

 

The First Line

”外では寒風が吹き荒れていた。”

 

折原一著、「倒錯のロンド」を読みました。

 

 

ものすごく巧妙な叙述トリック。元々叙述トリックが使われていると知っていたうえで読み進めていたのに、まんまと2転3転とひっくり返されて思わぬところに着地した。「第二部の四」から感じ始めた歪み。でももう手遅れでした。

とにかくテンポがよくて、注意しつつもすらすらと読めた。ミステリやけど決して不気味な雰囲気ではなくて、少しコメディチックにすら感じた。結末はまぁミステリやけど。最後に丁寧に解説までしてくれているから、すっきりと読み終われる。なかなか丁寧。

小説家になるんって、なかなか大変なんですね。僕も1編新人賞に応募したことあるけれど、言うまでもなく落選。実際書いたことで、書くことの大変さと深みを出すことの難しさを痛感した。受賞の域にいくまでには並大抵の努力では無理やろな。つまりは、盗作はいけません。

これは物語を単純に楽しむ小説。そこにある考えや思いは特にないし、自分の意見を持つ必要がない。だからこそ純粋に楽しめる。

 

 

好み: ★★★★★☆