夏の庭 湯本香樹実 著
あらすじ
”町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ――。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていくのだが……。喪われゆくものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。”
The First Line
”六月に入ってから、雨ばかり降っている。”
湯本香樹実著、「夏の庭」を読みました。
「死」というものを考えさせられる物語。これから生きる10代と、死に向かう大人が読むのでは、この小説はまったく違うものになると思う。僕は後者かな。まだ20代前半やけど。
あどけない活発な小学生とは対照的に死にゆく老人。でも、独りで寂しく暮らす老人の小学生たちへの素直になれない子供らしさがまた愛おしい。小学生たちと出会えてほんとうれしかったと思う。だからこそ老人も「生」を精一杯表したんやろな。
人生終わりよければすべてよしとはこういうことなのでしょう。僕は今後の方が長い人生であると信じているけれど、終わりに「良し」を持ってこれればいいな。
これで死ねると思える何かって僕にとっては何になるんやろな。答えは人生の最後にわかる。
好み: ★★★☆☆☆