小説・秒速5センチメートル 新海誠 著
あらすじ
”「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」いつも大切なことを教えてくれた明里、そんな彼女を守ろうとした貴樹。小学校で出会った2人は中学で離ればなれになり、それぞれの恋心と魂は彷徨いを続けていく。劇場アニメーション『秒速5センチメートル』では語られなかった彼らの心象風景を、新海誠監督みずからが繊細な筆致で小説化。1人の少年を軸に描かれる、3つの連作短編を収録する。”
The First Line
”「ねえ、まるで雪みたいだね」と、明里は言った。”
新海誠著、「小説・秒速5センチメートル」を読みました。
書店でふとこの本が目に入ったとき、手に取るかだいぶ悩んだ。初めて映画を見たときのあの何とも言えない喪失感のような感情を思い出したから。
アニメでは描かれなかったお互いの心情、そして初めて明らかにされ第3話の物語、読めて改めてこの作品への思いが深まった。個人的には、アニメを見てからこの小説を読んだ方がより楽しめるかもと思う。
最後の終わり方も少し印象が変わって、どちらもすばらしい余韻を与えてくれた。これはまたしばらく浸ってまうかも。
この作品に触れるたびに一番思うのは、花苗の切なさ。第2話が一番のお気に入りで、また毎回胸が締め付けられる。
繊細な筆致は、映像のあのリアルできれいな風景をしっかりと表されていた。直喩と隠喩の表現はさすがとしか言いようがない。
桜は秒速5センチメートル、雨は秒速5メートル、雲は秒速1センチ。これ知ってたらいずれ役立つと思う。
好み :★★★★★★