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小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

道草  夏目漱石 著

夏目漱石

 

道草 (新潮文庫)

道草 (新潮文庫)

 

 

あらすじ

”海外留学から帰って大学の教師になった健三は、長い間をかけて完成する目的で一大著作に取りかかっている。その彼の前に、十五、六年前縁が切れたはずの養父島田が現われ、金をせびる。養父ばかりか、姉や兄、事業に失敗した妻お住の父までが、健三にまつわりつき、金銭問題で悩ませる。その上、夫婦はお互いを理解できずに暮らしている毎日。近代知識人の苦悩を描く漱石の自伝的小説。”

 

The First Line

”健三が遠い所から帰って来て駒込の奥に世帯を持ったのは東京を出てから何年目になるだろう。”

夏目漱石著、「道草」を読みました。

 

 

久々の近代文学、そして夏目漱石の著書。近代文学を読むと、現代とは全く違ったその当時の生活を垣間見えるから楽しい。でもそんな時代にも、現代に通ずるものもあるし、その遠いようで近い生活が魅力的。

一見非人情で淡白な健三。でも、どこか情けを強く感じその優しさこそが漬け込む隙となる。それに若干気づきながらも、頑なに理論付けて自分の行為を正当化するところがなんとも愛おしい。

細君に素直になれない健三。文句ばっか言いながらも健三を心配する細君。お互い素直になれないのは純粋な心やからかな。なんやかんやお金のことも体調のことも気にかけているし。この距離感がいいんかもね。亭主関白ながらも堂々と支える妻、この時代独特の夫婦関係僕は近代文学を読むたび毎回憧れる。

現代でこんな夫婦関係やったらおそらく離婚でしょうね。離婚が必ずしも悪いとは決して思わんけれど、この時代のこの夫婦関係から学ぶことは多々あると僕は思う。結婚に対する覚悟と忍耐が現代は少し薄れているし、自由をはき違えてる気がする。

”「世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。一遍起った事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変るから他にも自分にも解らなくなるだけの事さ」”こころに響いた。色々な解釈ができうる。

 

 

好み: ★★★★★☆