小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

カクレカラクリ  森博嗣 著

あらすじ

”郡司朋成と栗城洋輔は、同じ大学に通う真知花梨とともに鈴鳴村を訪れた。彼らを待ち受けていたのは奇妙な伝説だった。天才絡繰り師、磯貝機九朗は、明治維新から間もない頃、120年後に作動するという絡繰りを密かに作り、村のどこかに隠した。言い伝えが本当ならば、120年めに当たる今年、それが動きだすという。二人は花梨たちの協力を得て、絡繰りを探し始めるのだが……。”

 

The First Line

”真知花梨は階段教室が好きだ。”

 

森博嗣著『カクレカラクリ』を読みました。

 

 

理系派の小説という印象の森博嗣さんの小説。今回は工学がメインで絡繰りの謎を解き明かす物語。ただ、初めに言っておくと、今回は死人が出てこない。つまりは、明るいミステリ。

この小説は絡繰りを探すというとてもシンプルな物語で、その中に冒険があったり謎があったり、そして最後には…。児童文学を読んでいるようなワクワク感があって、また夏休みを舞台としているだけあって童心に戻れるそんな爽やかな小説。小学生に読ませてもけっこう楽しめるかも。

登場人物もみんな個性的で、そして極端な悪人もいなくて、田舎独特の風土のなかのびのびと生活している感じがとても伝わってきた。田舎の夏、いいな。

絡繰りって、現代でいうプログラミングそのものやなととても思った。僕自身が今プログラミングを勉強していて日々苦戦していて、でもそのアルゴリズムと絡繰りのアルゴリズムはとても似ていることには気づいた。プログラミングにはまだそんなに魅力を感じてはいないけれど、絡繰りって素敵。興味がわいた。昔の人ってすごいな。

廃墟好きの僕にとって、物語の発端となった工場がとても気になります。

 

 

好み: ★★★★☆☆

 

カクレカラクリ (講談社ノベルス)

カクレカラクリ (講談社ノベルス)