小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

哀しい予感  吉本ばなな 著

あらすじ

”幸せな四人家族の長女として、何不自由なく育った弥生。ただ一つだけ欠けているのは、幼い頃の記憶。心の奥底に光る「真実」に導かれるようにして、おばのゆきのの家にやってきた。弥生には、なぜか昔からおばの気持ちがわかるのだった。そこで見つけた、泣きたいほどなつかしく、胸にせまる想い出の数々。十九歳の弥生の初夏の物語が始まった――。”

 

The First Line

”その古い一軒家は駅からかなり離れた住宅街にあった。”

 

吉本ばなな著『哀しい予感』を読みました。

 

 

題名通り、最初から哀しい予感に包まれている。

この小説は確かに哀しいかったり心にある闇を描いていたりと、一見暗そうではあるけれど、実はこの小説に出てくる登場人物はみんな自分なりの幸せを持っているのであって、だからか奥底には光が感じられる。この小説には愛が満ち溢れている。

文学的ながらもとても優しくて、吉本ばななさん独特の雰囲気を味わうならもってこいの小説。

幼い頃の記憶ってとても曖昧で、今から遡るといい思い出ばかりやけれど、たぶん嫌なことは忘れているだけなんかな。

200ページもない小説やから、すぐに読める。やし、普段あまり小説を読まない人にも手に取りやすい。

夏の気分を味わいつつ、つながりの愛を感じられる、そんな小説。

 

 

好み: ★★★☆☆☆

 

哀しい予感 (幻冬舎文庫)

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