頼子のために 法月綸太郎 著
あらすじ
”「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔殺人で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて相手を刺殺、自らは死を選ぶ――という手記を残していた。手記を読んだ名探偵法月綸太郎が、事件の真相解明にのりだすと、やがて驚愕の展開が!精緻構成が冴える野心作。”
The First Line
”一九八九年八月二十二日 頼子が死んだ。”
法月綸太郎著、『頼子のために』を読みました。
特に読んでみようと思って手に取ったわけではなかったからさらっと読むはずが、思いのほか読み入ってた。
一言でいえば王道のミステリーで、2時間サスペンスドラマでありそうな内容。特に斬新なトリックが使われているわけでもなく、でも満足できる犯人当て。この小説は何より動機がカギとなっていて、人物の心情を味わう内容かな。犯人当ては二の次でも全然良い。
親が子を愛するベースと、歪む心情。「頼子のために」というタイトルはシンプルでありながら小説の色を絶妙に表している。みんなそれぞれの心情が複雑に絡み合っていて、愛情一つで片づけられるものではない。もっと直球な愛情さえあれば、、、しっかりと完結はするけれど、後味が悪い。
淡い恋愛も垣間見えて、やっぱり恋愛は難しいなと感じた。本筋とは少しずれているけれど。
権力の圧力こわいですね。
好み: ★★★★★☆