小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

陽気なギャングが地球を回す  伊坂幸太郎 著

あらすじ

”嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!”

 

The First Line

”二人組の銀行強盗はあまり好ましくない。”

 

伊坂幸太郎著、『陽気なギャングが地球を回す』を読みました。

 

 

ハードボイルドとは対極にある、どこか腑抜けた正統派のギャング小説。

ここまでに自分たちをギャングと開き直って強盗できたら、警察も捕まえようにも認めてしまいかねない、それぐらいの潔さ。もちろん銀行強盗はいけないことやけれど。

死体が出てきたのに、こんなにも脇役になるサスペンス小説はなかなかない。普通、事件解決に力が入るところやけれど、この小説ではあくまで一イベントに過ぎない。そして、また陽気なギャングたちは悪者やのにヒーローに見えてしまう。この小説の世界は無法社会なのかな。何でもありに見える。

小説内に出てくるあらゆるものが、最後につながってきて、とてもすっきりとする。伏線ほどではないけれど、すべて回収されるのは気持ちがいい。伊坂幸太郎さんの小説はだから読みたくなる。

銀行強盗は4人が好ましいですね。

 

 

好み: ★★☆☆☆☆

 

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)