小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

儚い羊たちの祝宴  米澤穂信 著

 

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

 

 

あらすじ

”夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。”

 

The First Line

”この手記は誰にも見られてはなりません。”
”千人原地方の北、高台を上って山の端のほど近くに、六綱家のお屋敷があります。”
”わたしの一週間は、水曜日からはじまります。”
”わたしの弱さは生まれつきのものだったのだと、いまになって思う。”
”サンルームは荒れ果てている。”

 

 

 

米澤穂信著、「儚い羊たちの祝宴」を読みました。

 

 

ミステリを意識して読んでいると、ホラー的であることに気づく。結末に向かってどんどん無気味さが増していって、最後にはゾッとするオチ。語りが優しいが故の内容とのギャップがまた不気味さを醸し出している。個人的には1番目と3番目のオチはなかなかゾッとした。

人間の内なる無気味さと怖い一面が垣間見える。これほどではないにしても、おそらく現実にも内なる暗い心は誰にでもあるんでしょうね。

お嬢様として生まれたがための不自由さ、これが夢想に導いてしまうと思うと少しかわいそう。大抵が親が支配する現実からの逃走。今の時代にも実際にこんな家系あるんかな。

この物語、どことなく恩田陸さんの小説と似てる。あの独特な雰囲気と語り調がいかにもって感じする。だからか、嫌いではない。ただ、僕はミステリを欲していた。もっと夏に読みたかった。

 

 

好み: ★★★★☆☆