小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

模倣の殺意  中町信 著

 

模倣の殺意 (創元推理文庫)

模倣の殺意 (創元推理文庫)

 

 

あらすじ

”じっくり腰を据えて読みすすんでいくと、やがて、どうみても中町氏の書き誤りではないかと考えざるを得ない結論に到達するのだが、ラストでそれが作者の仕掛けたワナだったことを知らされる。その驚きは圧巻だ。近頃、これほど意外性に工夫をこらした作品は珍しい。ある意味で、私はクリスティの初期のある傑作を思いうかべ、読み終えてしばし呆然としたのである。”

 

The First Line

”午後七時――。坂井正夫は、死んだ。”

 

中町信著、「模倣の殺意」を読みました。

 

 

最近、この手の小説にはまっていて、今回も叙述トリック

中田秋子と津久見伸助の2人の視点で展開される物語。お互いの突飛した無理のある推理に初めは困惑した。こんな推理この小説やから成り立つけれど、ホームズみたいな探偵がこんな推理したら非難轟々やで。でもそれがまた素人感が出てよりリアルな世界観を出しているのは事実。

結末にはなるほどと思った。でも、正直言うとこのトリックは少し不満かな。こんなのあり?と思わざるを得ない。たしかに衝撃は受けたんやけども。

初期のクリスティ、言われればそうかも。でもやはりクリスティの作品を読んだ時の方が衝撃的だったし、すべてが腑に落ちた。

叙述トリックの小説は、いつも以上に注意深く読んでしまうから読んだ時の満足感が大きい。だから最近はまってるんかな。

 

 

好み: ★★★★☆☆