小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

東京湾景  吉田修一 著

 

東京湾景 (新潮文庫)

東京湾景 (新潮文庫)

 

 

あらすじ

”「愛してないから、こんなになれるの」「それでも、お前と一緒にいたかったんだよ」。品川埠頭の倉庫街で暮らし働く亮介が、携帯サイトの「涼子」と初めて出会った25歳の誕生日。嘘と隠し事で仕掛けあう互いのゲームの目論見は、突然に押し寄せた愛おしさにかき消え、二人は運命の恋に翻弄される。東京湾岸を恋人たちの聖地に変えた、最高にリアルでせつないラブストーリー。”

 

The First Line

東京湾に隣接した船積貨物倉庫内には、まったく日が差し込んでこない。”

 

吉田修一著、「東京湾景」を読みました。

 

 

大人のラブストーリー独特の、複雑で切ない、そして恋っていいなと思わせる物語。気持ちのすれ違いって恋に付き物やけど、これが一番つらいねんな。

出会い系サイトでの出会いって、今はどれぐらい受け入れられるんやろか。たぶん、抵抗あって軽蔑さえする人少なからずいるんやろな。でも、僕はネットやメールでの出会いは素敵やと思う。元々純粋やった関係に下心を持ちだして汚すぐらいなら、最初から下心ありでの関係からはじめれば、汚すものもなくむしろ純粋に心を維持できる。

心ここにあらずな人、僕は嫌いやない。彼女にそうあってほしいというのはまた別の話やけど、人間一般的に心がその場にない人にはたいてい魅力的な物語がある。

東京湾って埋め立てのイメージしかないけど、意外とドラマチック。つまり、日本全国ドラマチックな舞台になりえる。

見えてる場所が近くにあるとは限らない。深いですね。

ひたすら海を眺めてぼーっとしたい。

 

 

好み: ★★★★☆☆