小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

公開処刑人森のくまさん 堀内公太郎 著

あらすじ

公開処刑人「森のくまさん」。犯行声明をネットに公表する連続殺人鬼だ。捜査本部は血眼で犯人を追うが、それを嘲笑うかのように惨殺は繰り返され、世間は騒然となる。殺されたのはレイプ常習犯やいじめを助長する鬼畜教師など、指弾されても仕方ない悪党ばかりで、ネットには犯人を支持する者まで出始めていた。一方、いじめに苦しみ、自殺を図ろうとした女子高生の前に、謎の男が現れ……。”

 

The First Line

“「ある日」

軽快な調子だった。”

 

堀内公太郎著『公開処刑人森のくまさん』を読みました。

 

 

サイコ的な小説読みたいな思って、実家の本棚から取ってきた。

冒頭ですでに5人殺されてて、あれ?って思った。そして、その経緯とか次の事件とか進んでいくけれど、結末は僕の嫌いなアクションパターン。少し興ざめ。

そして、登場人物の名前がややこしい。特に、女性の名前が似てて、ごっちゃになる。

確かに殺人はダメやけれど、このサイコの動機は全否定できない自分はいる。もっとみんなまともに生きたらいいのにと平和に考える。

 

 

好み: ★★☆☆☆☆

 

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

 

国道沿いのファミレス 畑野智美 著

あらすじ

佐藤善幸、外食チェーンの正社員。身に覚えのない女性問題が原因で左遷された先は、6年半一度も帰っていなかった故郷の町にある店舗だった。淡々と過ごそうとする善幸だが、癖のある同僚たち、女にだらしない父親、恋人の過去、親友の結婚問題など、面倒な人間関係とトラブルが次々に降りかかり……。ちょっとひねくれた25歳男子の日常と人生を書いた、第23回小説すばる新人賞受賞作。

 

The First Line

駅の改札が自動改札になっていた。

 

畑野智美著『国道沿いのファミレス』を読みました。

 

 

少し複雑な人間たちの、少し絡まった関係が織りなす物語。

ここまで性表現を直接的に書かれると、もはや潔い。でも、それが主人公の性格に合ってるからいやらしさを感じない。でも、いろんな愛の形がどれも安っぽく感じてしまった。そして、もっと暗くて率直でもよかった。

小さな田舎町でさえ、こんな人間関係が出来得るなら、都会なんてどうなるんやろ。だから、カオスなんかな。

ファミレスって、確かに小さい頃は特別な場所やって、家族でファミレス行くときはめっちゃワクワクしてた。その頃の感情を少し思い出せた。

 

 

好み: ★★☆☆☆☆

 

国道沿いのファミレス (集英社文庫)

国道沿いのファミレス (集英社文庫)

 

 

 

黄金色の祈り 西澤保彦 著

あらすじ

他人の目を気にし、人をうらやみ、成功することばかり考えている「僕」は、高校卒業後、アメリカの大学に留学するが、いつしか社会から脱落していく。しかし、人生における一発逆転を狙って、ついに小説家デビュー。かつての級友の死を題材に小説を発表するが…作家の実人生を思わせる、青春ミステリ小説。

 

The First Line

最初は、単なる代役だった。

 

西澤保彦著『黄金色の祈り』を読みました。

 

 

中学からの人生を追った、ドキュメントみたいな物語。

自分はできる人間だと思い込んで、何かあったら周りのせいにして自分を守って、ときに優越感に浸って、ときに勝手に解釈して、そんな人生身に覚えがないと言ったら嘘になる。たぶん、読者みんなにも少なからず共感してしまった部分あると思う。だって、人間だもの。

結局結末少しごちゃごちゃしててよくわからなかったけれど、まぁそこまでの過程を切り取っても村上春樹風で楽しめる。

人生なるようになる。そして、何が起こるかわからない。

 

 

好み: ★★★☆☆☆

 

黄金色の祈り 文春文庫

黄金色の祈り 文春文庫

 

 

キケン 有川浩 著

あらすじ

“ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称【キケン】。部長・上野、副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。これは、理系男子たちの爆発的熱量と共に駆け抜けた、その黄金時代を描く青春物語である。”

 

The First Line

“『学内一の快適空間【機械制御研究部】!エアコン・冷蔵庫・AV設備一式・仮眠用ロフトその他完備!君たちもクラブハウス一のこの快適空間を味わおう!』”

 

有川浩著『キケン』を読みました。

 

 

等身大のモラトリアムな感情が描かれる物語ではなくて、漫画みたいに明るく弾ける大学生の物語。どちらかと言うと前者の方が好きやけれど、この小説はただバカに弾けるそこらの大学生とはまた異なり、バカ真面目に明るく大学生活に励む大学生たちが主役で、読んでいてとても羨ましい気持ちになる。ここまで自分の好きなことにのめり込んでバカになれるなら、大学も悪くないなと思ったり。

理系のもっさい大学生ばかりやけれど、だからこそ純情でそこらのバカ文系大学生とは一線を引いてるあたり良い。

クレイジーな上野先輩と強面の大神先輩、そして後輩たちの関係は、上下関係として理想かも。

半年前まで一大学生だった身分で、世の大学生を敵に回すような発言をしてしまい、すみません。でも、本音です。

少々クレイジーで真面目な、 こんな大学生活を送りたかった。

 

 

好み: ★★★☆☆☆

 

キケン (新潮文庫)

キケン (新潮文庫)

 

 

 

噂 萩原浩 著

あらすじ

”「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。”

 

The First Line

”「ねえ、聞いた聞いた?碑文谷公園のちょーきもい話」”

 

萩原浩著『噂』を読みました。

 

 

最近、サイコパス系の小説読みたいな思ってて、この小説と出会う。

噂程度の話が現実となって、次々と少女が殺されていく。この内容に惹かれて読んでみて、確かに面白かった。ただ、殺人の動機が少し物足りなくて、全体的に惜しい感があった。

噂が全国的に広まって、その影響から殺人が起こってパニックになるという流れを期待してたけれど、、、少し違ったかな。ただ、全体的に一貫してたし、所々人間味ある件もあって、読んでて飽きがこなかった。

現実にも、噂が広まってそれに操作されていることあるんやろな、気づかないうちに。ただ、いい気分ではない。

 

 

好み: ★★★★☆☆

 

 

噂 (新潮文庫)

噂 (新潮文庫)

 

 

 

女のいない男たち 村上春樹 著

あらすじ

〈これらを書いている間、僕はビートルズ「サージェント・ペパーズ」やビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」のことを緩く念頭に置いていた。 〉と、著者が「まえがき」で記すように、これは緊密に組み立てられ、それぞれの作品同士が響きあう短編小説集である。絡み合い、響き合う6編の物語。村上春樹、9年ぶりの短編小説世界。

 

The First Line

〈ドライブ・マイ・カー〉”これまで女性が運転する車に何度も乗ったが、家福の目からすれば、彼女たちの運転ぶりはおおむね二種類に分けられた。”

〈イエスタデイ〉”僕の知ってる限り、ビートルズの『イエスタデイ』に日本語の(それも関西弁の)歌詞をつけた人間は、木樽という男一人しかいない。”

〈独立器官〉”内的な屈折や屈託があまりに乏しいせいで、そのぶん驚くほど技巧的な人生を歩まずにはいられない種類の人々がいる。”

シェエラザード〉”羽原と一度性交するたびに、彼女はひとつ興味深い、不思議な話を聞かせてくれた。”

〈木野〉”その男はいつも同じ席に座った。”

〈女のいない男たち〉”夜中の一時過ぎに電話がかかってきて、僕を起こす。”

 

村上春樹著『女のいない男たち』を読みました。

 

 

久々に村上春樹さんの小説読んだ。

村上春樹さんの作品は、決して起承転結がはっきりとしているわけではなくて、日常を切り取った物語やから、ミステリのようなインパクトのある結末にはならないけれど、それが良い。その日常の一コマに、愛や友情などの人間性が詰め込まれていて、それを楽しむ高度な物語ばかり。

今回もそんな感じで、むしろ今まで以上に物語ひとつひとつは写真のようにありのままが写されていた。「女のいない男たち」と言う題名は、まさにその通り。

個人的には、『イエスタデイ』がお気に入り。好きやのに、友だちすぎて性にこだわらない姿勢。めっちゃ共感できる。付き合う=性交という安易な考え方に違和感を覚えている僕にとったら、この木樽の姿は自分を見ているよう。とても切なくなった。

不倫が世間を賑わしている今日この頃。その核にあるストーリーを見ていければ、視聴者としても楽しめる。

めったにない村上春樹さんの「まえがき」にも注目。

 

 

好み: ★★★★☆☆

 

女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)

女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)

 

マリオネットの罠 赤川次郎 著

あらすじ

””私の事を、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれない”……森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は?錯綜する人間の欲望と、息もつかせぬストーリー展開で、日本ミステリ史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長篇。”

 

The First Line

”茅野から小淵沢にかけての一帯は、その夜、濃霧のような秋の雨に包まれていた。”

 

赤川次郎著『マリオネットの罠』を読みました。

 

 

ずっと気になってた赤川次郎さんの長編処女作ようやく読めた。

1冊の物語とは思えないほど内容が凝縮されて、章ごとに違う小説読んでる感じになったけれど、それが最後には繋がってとても面白かった。冒頭の入りからの1章で一つの結末を迎えて、それが次章へと続く。

 物語としてここまで満腹になれることそんなにない。でも、正直結末は少し腑に落ちない。結末そのものはそれでいいんやけれども、どこか無理やりさというか荒っぽさがある。これが赤川次郎さんの処女作やからまだ納得やけれど、これが無名の作家さんの小説やったら嫌いになってたやろな。

愛ってなんなんやろ。こわいね。

 

 

好み: ★★★★★☆

 

新装版 マリオネットの罠 (文春文庫)

新装版 マリオネットの罠 (文春文庫)

 

 

 

四畳半王国見聞録 森見登美彦 著

あらすじ

”「ついに証明した!俺にはやはり恋人がいた!」。二年間の悪戦苦闘の末、数学氏はそう叫んだ。果たして、運命の女性の実在を数式で導き出せるのか(「大日本凡人會」)。水玉ブリーフの男、モザイク先輩、凹氏、マンドリン辻説法、見渡すかぎり阿保ばっかり。そして、クリスマスイブ、鴨川で奇跡が起きるーー。森見登美彦の真骨頂、京都を舞台に描く、笑いと妄想の連作短篇集。”

 

The First Line

”諸君!諸君と言っても誰もいないのだが、しかし余は断じて諸君と呼びかけよう。”

 

森見登美彦著『四畳半王国見聞録』を読みました。

 

 

森見節大炸裂の1冊。

森見さんの小説を読むと、毎回同じ気持ちになる。笑いあり若干の切なさあり。京都の良さと大学生の阿保さを感じたいがためだけに読んでると言っても過言ではない。

僕の行ってた大学にも、そんな裏の組織とか深海の生活があったんやろか。四畳半って狭いけれど、森見さんの物語に出会ってから憧れの対象になってる。実際は6畳+ロフトの1Kを選んだけれども。

森見さんの物語に出てくるキャラクターは、どれも一貫して阿保で、物語を越えて同じような人たちが出てきて、話繋がってるのかなと思ってしまうほど雰囲気が同じ。やのに、全く飽きない。そして、定期的に読みたくなる。

大学生でもっと阿保しててもよかったな。

 

 

好み: ★★★★☆☆

 

四畳半王国見聞録 (新潮文庫)

四畳半王国見聞録 (新潮文庫)

 

蝉しぐれ 藤沢周平 著

あらすじ

朝、川のほとりで蛇に咬まれた隣家の娘をすくう場面からはじまるこの物語、舞台は藤沢読者になじみ深い海坂藩である。清流と木立に囲まれた城下組屋敷。淡い恋、友情、そして悲運と忍苦。ひとりの少年藩士が成長してゆく姿をゆたかな光の中で描いたこの作品は、名状しがたい哀惜をさそわずにおかない。

 

The First Line

海坂藩普請組の組屋敷には、ほかの組屋敷や足軽屋敷には見られない特色がひとつあった。

 

藤沢周平著『蝉しぐれ』を読みました。

 

 

初めて時代小説読んだけれど、めっちゃ面白かった。

海外文学読むとき、時代背景とか土地勘とかカタカナ名とかが頭に入らなくて正直苦手で、時代小説もそんな感じかなと読まず嫌いやったけれど、スッと頭に入ってきて読みやすかった。

一つの物語に全ての感情が詰め込まれてる。ほのぼのあり、友情あり、恋あり、切なさあり、悲しさあり、男気あり。ページを繰るのが楽しかった。

時代ごとに生活環境は全く違えど、思うこと感じることは共通することが多いんやなと思った。ただ、江戸時代はとても温かい。人とのつながりや、義理と人情をとても感じられて、憧れさえした。心が豊かな時代やったんやろな。

文四郎の成長を追って、とても男らしくなる姿がなんとも愛おしくたくましい。見習わなあかんものがある。

ただ、心に想う人が他人と結ばれてしまう、この哀しさは感じたくない。もしも自分やったらと思うと、、、やってられない。

 

 

好み: ★★★★★★

  

蝉しぐれ (文春文庫)

蝉しぐれ (文春文庫)

 

ノクチルカ笑う 柴村仁 著

あらすじ

死体って、光るのかな。文化祭の準備中、お化け屋敷の人形を見て呟いた女子の一言を、沖津は聞き逃さなかった。人をつっつくこと、陥れることが趣味のイケメン沖津は、人形を作った美術部男子が光る死体の秘密を知っていると勘づく。美術部教師には卒業生の由良彼方が着任中。「由良シリーズ」待望の新作。

 

The First Line

ふっ。思わず笑いが漏れた。

 

芝村仁著『ノクチルカ笑う』を読みました。

 

以前『プシュケの涙』で由良シリーズにハマって、今回読んでみた。

今回も舞台は高校で、文化祭を目前に控えた生徒たちの様子が繊細に描かれてる。生徒たちのあどけなさや明るさと同時に、不気味さや緊迫感が混じっていて、学園祭前って少なからず自分もこんな感じやったかなと思い出してしみじみとしたり。

最初は高校生の心情を追うだけかと思ったけれど、結末がとてもゾッとした。個人的には。2人の高校生の明と暗が話の中心やけれど、その「暗」がなんとも言えない不気味さ。それには期待してていいと思う。

高校時代って、ほんとかけがえのない一瞬で、色んな感情が渦巻きつつも、それすらが輝いている。いいな。

高校時代に戻りたい。

 

 

好み:★★★★☆☆

 

ノクチルカ笑う (講談社文庫)

ノクチルカ笑う (講談社文庫)