小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

蝉しぐれ 藤沢周平 著

あらすじ

朝、川のほとりで蛇に咬まれた隣家の娘をすくう場面からはじまるこの物語、舞台は藤沢読者になじみ深い海坂藩である。清流と木立に囲まれた城下組屋敷。淡い恋、友情、そして悲運と忍苦。ひとりの少年藩士が成長してゆく姿をゆたかな光の中で描いたこの作品は、名状しがたい哀惜をさそわずにおかない。

 

The First Line

海坂藩普請組の組屋敷には、ほかの組屋敷や足軽屋敷には見られない特色がひとつあった。

 

藤沢周平著『蝉しぐれ』を読みました。

 

 

初めて時代小説読んだけれど、めっちゃ面白かった。

海外文学読むとき、時代背景とか土地勘とかカタカナ名とかが頭に入らなくて正直苦手で、時代小説もそんな感じかなと読まず嫌いやったけれど、スッと頭に入ってきて読みやすかった。

一つの物語に全ての感情が詰め込まれてる。ほのぼのあり、友情あり、恋あり、切なさあり、悲しさあり、男気あり。ページを繰るのが楽しかった。

時代ごとに生活環境は全く違えど、思うこと感じることは共通することが多いんやなと思った。ただ、江戸時代はとても温かい。人とのつながりや、義理と人情をとても感じられて、憧れさえした。心が豊かな時代やったんやろな。

文四郎の成長を追って、とても男らしくなる姿がなんとも愛おしくたくましい。見習わなあかんものがある。

ただ、心に想う人が他人と結ばれてしまう、この哀しさは感じたくない。もしも自分やったらと思うと、、、やってられない。

 

 

好み: ★★★★★★

  

蝉しぐれ (文春文庫)

蝉しぐれ (文春文庫)