小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

家族八景 筒井康隆 著

あらすじ

”幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心をすべて読みとってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬ーー彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を抉り出す。人間心理の深層に容赦なく光を当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の裏面を、コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい本である。”

 

The First Line 

”前庭の、赤い花が満開だった。”

 

筒井康隆著『家族八景』を読みました。

 

 

まるで昼ドラを見ているような、ドロドロとした夫婦感の関係を読んだ感覚になる小説。

8つの家族を見る七瀬の物語で、その幼さと目の前の大人なドロドロさが対照的で、大人の猥雑さが際立っていた。8種8用ではあるけれど、根底に根付くものは同じで、これは単なる物語上のことで片付かずに実際の現実の夫婦間にもあることなのかも。恐ろしい。

まだ結婚して家庭を持っていない身でこの小説を読んだから恐ろしいって感情が出たのかもしれんけれど、結婚して家庭を持ってからこの小説を読んだら、あるある話になるんかな。

『七瀬ふたたび』から七瀬シリーズに入って、その時にも感じたけれど、七瀬ってミステリアスな一面を持つ一方でとても単純で、行動が幼い。やることがどんどん裏目に出て、雰囲気がイマイチ掴みきれない。アホなん?って時々思ってしまうほど。

テレパスを持つ人は大変なのでしょう。もし自分の周りに持っている人がいたら、どーしよ。心の中読まれたくない。

 

 

好み: ★★☆☆☆☆

 

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)