窓の魚 西加奈子 著
あらすじ
”温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。決して交わることなく、お互いを求め合う4人。そして翌朝、宿には一体の死体が残されるーー恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。”
The First Line
”バスを降りた途端、細い風が、耳の付け根を怖がるように撫でていった。”
西加奈子著『窓の魚』を読みました。
西加奈子さんの小説を読むのは2作目やけれど、その文章の緻密さには前回同様圧倒される。ただ、子どもな僕にはまだ難しすぎた。
決定的な欠落を抱えている4人それぞれの視点から一夜を描かれていて、それぞれが奥深くにある闇を隠す。一夜明けて現れる死体が、闇の終着点であり、その謎がこの小説自体の闇。
西加奈子さんの文章表現力に感動。田舎ののんびりとした温泉地やのに、終始どんよりしている。それを表現されているのは何よりも圧倒的な文章力。すごいの一言。
恋愛って、表面上のことやなと最近思うことがあって、この小説はまさにそれを表しているのかなと思った。奥にあるのが愛で、これを持って恋愛している人ってそんなに多くないのかも。
欠落していない人はいないと思うけど、ここまで決定的な欠落があると、生きるのも死んどそう。でも、だから小説になる。
好み: ★★★☆☆☆