小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

クラインの壺  岡嶋二人 著

あらすじ

”200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。不世出のミステリー作家・岡嶋二人の最終作かつ超名作。”

 

The First Line

”実際、こんなものが証拠として役に立つのかどうか自信はないのだが、ともかく僕がイプシロン・プロジェクトと取り交わした契約書を、このノートの最初のページに貼りつけておくことにする。”

 

 岡嶋二人著『クラインの壺』を読みました。

 

 

前から気になってした小説、ついに読む。

岡嶋二人さんの小説って、とてもシンプルでスリルがあって、でもオチが弱いってイメージがあったけれど、この小説は最後まで楽しめる。超名作も納得。

物語を進めていくにつれてどんどん謎が深まって、その謎がまた謎を呼んで、いつしか自分自身がその世界に入り込んでる。一見ただの謎やけれど、自分で想像力を膨らますことで余計に謎にはまっていく。この小説は、フラットな気持ちで読んでほしい。決して構えないでほしい。そうすることで、最大限この世界を楽しめると思う。

今や世に出ているVR。でも、クライン2には到底及ばない。こんなゲームがもしできたら、、、

最後の結末、個人的にはけっこう好き。読者に委ねられてかつ表と裏がわからなくなっているこの感覚。

僕はこのゲームには向いてないかな、怖いし。

 

 

好み: ★★★★★☆

 

クラインの壷 (講談社文庫)

クラインの壷 (講談社文庫)