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小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

殺人鬼フジコの衝動  真梨幸子 著

あらすじ

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?精緻に織り上げられた謎のタペストリ。最後の一行を読んだ時、あんたは著者が仕掛けたたくらみに戦慄し、その哀しみに慟哭する……!”

 

The First Line

”この小説は、ある女の一生を描いたものである。”

 

真梨幸子著、『殺人鬼フジコの衝動』を読みました。

 

 

最後の一行を読むことで、小説への感想が一変する。一気読みしてしまいます。

この小説全体の方向は、殺人鬼フジコの一生を描いたドキュメンタリー要素の内容。でも最後の一行でそれは一気に物語としてのサスペンスに変わる。叙述トリックではないけれど、ここまで一変させるこの小説の力はすごい。

フジコの心情がとても繊細に書かれていて、それが殺人に結びつくとき、鳥肌が立つ。フジコにとっての母の存在と、その後生まれる娘の存在。怖いぐらいに同じ道をたどっていて、その不気味さたるや、ホラーの域に達している。最後まで一貫して不気味な緊迫感は張りつめていて、物語そのものは平坦やけれど終始高い場所が保たれている感じ。全部が見せ場。

「あたしは蝋人形、おがくず人形」これがとても怖い。最後にまで尾を引いている。

こんなじんせいだったら、間違いなく自分やったら自殺している。こんなの耐えられない。その、不幸さは少し可哀そうに思う一方で、不気味な要素がどうしても勝る。

 

 

好み: ★★★★★★

 

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)

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