ルーズヴェルト・ゲーム 池井戸潤 著
あらすじ
”大手ライバル企業に攻勢をかけられ、業績不振にあえぐ青島製作所。リストラが始まり、歴史ある野球部の存続を疑問視する声が上がる。かつての名門チームも、今やエース不在で崩壊寸前。廃部にすればコストは浮くが—―それぞれの人生とプライドをかけて挑む奇跡の大逆転とは。”
The First Line
”赤茶けた土のついたスパイクで打席を均したとき、北大路犬彦は興奮も緊張も感じなかった。”
この小説は、「半沢直樹」よりかは「下町ロケット」派の内容。正義による悪者退治よりかは、熱き社会人のサクセスストーリー。
胸を熱くさせる内容ってたいてい若者が主人公のものが多いけれど、この小説には社会人ばっかり出てくる。一つの会社で働く社員一人ひとりの思いが一つになったり衝突したり。こんな会社、楽しいだろうな。いろんな視点で物語が進んでいくから、いろんな思いを感じる。
池井戸潤さんの小説全体に言えることやけれど、ここまで悪者を表現しそして逆境を感じさせるのはすごい。読んでてまるで当事者になったかのように感情が入ってくる。そして、最後はものすごくすっきりする。
社会人になったらただ働いて、それがまるで歯車のように思ってしまうこともあるけれど、それでもやっぱり一人ひとりの人生がしっかりとあるんだなと気づかされる。青春こそすばらしいというわけでもなさそう。社会人にも良いところはあるから、それが自信にもなる。
就職前にこの小説に出会えてよかった。とても熱い感情を得ることができた。
好み: ★★★★★☆