ツナグ 辻村深月 著
あらすじ
”一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。”
The First Line
”風が吹いて、コートの襟に手をやる。”
辻村深月著、『ツナグ』を読みました。
心に温かいものが染みる小説。
「死」っていつやってくるかわからないからこそ、死別はいつまでも悔いが残ってしまうし、お互い生きているうちに会っとこうと頭では理解していてもこれは実際にその境遇にならないと理解できないこと。だからこそこの「使者」の存在が長きにわたって必要とされるんやろな。並々でない社会貢献。
死んでも愛してくれる人って実際いないもの。表面上では死んでも友達だよって言う人は若者に特に多いかも入れんけれど、そんなん実際その親友が死んだら、風化されると思うと悲しい。一生に一人でいいから、死んでも会いたいと思ってくれる人と出会えるなら、それだけで幸せなことですね。
この小説はもっと年取って周りの大事な人と死別したときに読むと、きっと違う感動を得られる。おそらく涙が止まらなくなる。僕にはまだツナグに依頼してまで会いたいと思う人はいない。
会いたい人には今のうちに会っておこ。
好み: ★★★☆☆☆