小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

神田川デイズ  豊島ミホ 著

 

神田川デイズ (角川文庫)

神田川デイズ (角川文庫)

 

 

あらすじ

”ダメダメなあたしたちにも明日は来る。否応なく――コタツでとぐろを巻く童貞達にも、自己マン臭ぷんぷんの映研に反旗を翻す女子たちにも、クレバーに生きたい男子にも、つまんない周りとつまんない自分にうんざりの優等生にも、何かになりたくて何にもなれない彼女にも――それでもあたしたちは生きてゆく。凹み、泣き、ときに笑い、うっかり恋したりしながら。ひたすらかっこ悪く、無類に輝かしい青春小説。”

 

The First Line

”もしも世界のどこかに一箇所だけ青春のどん詰まりがあるならば、それはこの六畳間に他ならない、と思う。”

 

豊島ミホ著、『神田川デイズ』を読みました。

 

 

大学生ならば一度は感じたことがあるセンチメンタルな感情が詰め込まれた小説。

期待に胸を膨らませた1回生。自分の生き詰まりを感じる2、3回生。社会の入口へと向かう4回生。この小説で出てくる感情すべてを経験したのではないかと思うぐらい手に取るようにそれぞれの学生の思いが伝わってきた。行動することの輝かしさと難しさ。怠けたい思いと行動したい思い。好きだけどやめたい。いろんな葛藤が渦巻く、それが大学生。

大学生という夢のように思われる期間は所詮虚像に過ぎないと僕はこの4年間でわかった。どれだけ行動しようと、どれだけ怠けようと、所詮大学生。どれも正しいし、どれも間違っている。大学生たる態度の正解なんて実はなくて、それぞれが過ごしたその期間がその人にとっての大学生の定義となる。相手を羨んだところで、その人の大学生と自分の大学生は根本的に定義から異なる。

振り返ってみて、高校3年生のころ果たして自分はどんな大学生活思い描いていたんやろか。そしてどれだけ思い通りになったんやろか。おそらく全く予期せぬ方向に行った。後悔はある。でも正しい選択をした。それがすべて。

この小説とは1回生の頃に出会いたかった。また異なる大学生活が目の前に現れていたと思う。

 

 

好み: ★★★☆☆☆