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小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

海の見える街  畑野智美 著

 

海の見える街 (講談社文庫)

海の見える街 (講談社文庫)

 

 

あらすじ

”海の見える市立図書館で司書として働く31歳の本田。十年間も片想いだった相手に失恋した七月、一年契約の職員の春香がやってきた。本に興味もなく、周囲とぶつかる彼女に振り回される日々。けれど、海の色と季節の変化とともに彼の日常も変わり始める。注目作家が繊細な筆致で描く、大人のための恋愛小説。”

 

The First Line

”いつものパンが売り切れていた。”

 

畑野智美著、『海の見える街』を読みました。

 

 

日常のささいな恋愛物語。

せまい世界の中にも恋愛は当然ながら存在していて、情熱的な恋愛ではないけれど、静かでじりじりと胸が締め付けられるような恋愛。誰もが一度は経験したことがあるんちゃうやろか。高校の恋愛と少し似ているかな。

4人を渦巻く感情を4人それぞれの視点から描かれていて、それぞれの想いがとても淡い。そしてとても繊細。「海」と「本」がまた名わき役となって小説全体の雰囲気作っている。とても優しい、そして切ない。

けっして覇気はない。違う世界で生きている人から見たら何が面白くて生きているんやろうと思われるかもしれないけれど、これも美しい人生。

「死んでいるように生きている」そんな感じ。つまんなそうに見えるけれど、そこにこそ小説があると僕は思う。小説が好きやから、死んでいるように生きることも美しいと思える。これは、小説が好きな人の特権やと僕は思っている。

片想い。これほど辛いものはない。でも、とても人間らしい。

 

 

好み: ★★★★☆☆