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小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

夏の夜会  西澤保彦 著

西澤保彦

 

夏の夜会 (光文社文庫)

夏の夜会 (光文社文庫)

 

 

あらすじ

”祖母の葬儀のため、久しぶりに帰省した「おれ」は、かつての同級生の結婚式に出席した。同じテーブルになった5人は皆小学校時代の同級生。飲みなおすことになり、思い出を語り合い始めたが、やがて30年前に起こった担任教師の殺害事件が浮かび上がる……。女性教諭は、いつどこで殺されたのか?各人が辿る記憶とともに、恐るべき真実が明らかになっていく。”

 

The First Line

”人間の記憶とは極めて曖昧な代物であるらしい。”

 

西澤保彦著、「夏の夜会」を読みました。

 

 

こんなにも何転もする小説そうなかなかない。

第一話が展開早くて、あれ、これ一話完結?と思ってしまうほどであったけれど、そこからの展開がもうとにかく転がり続ける。そして、章末ごとにゾッとするほどに方向転換されて、どこに向かっているか全くわからなくなる。でも、すべてが論理的で、筋が通っていて、だから不思議と追いやすくて読みやすい。違和感は最初から。

人間の記憶のいい加減さたるや。30年ってこれほどまでに残酷なのか。忘れていたり、ふと思いだしたり、でも都合よく編集されていたり。それが積み重なればそれはもはやフィクション。これこそがこの小説の肝であって、面白いところ。また小学校時代という状況設定が絶妙で、リアリティのある曖昧さにつながっているなと思った。

記憶のいい加減さは、現代のマスコミに通じるなとしばし思った。この状況の全国的規模が今日の噂や都市伝説となり、またミクロ的にはコミュニティでの人間関係なのかなと。もちろん人間である以上絶対的な記憶を保持し続けることは難しいかもしれないけれど、かといって無責任に発言するのはいかがなものかと。

たった1日の出来事。お酒よっぽど強いなこの主人公たち。飲みたくなってきますね。

 

 

好み: ★★★★★☆