草枕 夏目漱石 著
あらすじ
”智に働けば角がたつ、情に棹させば流される――春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、自然主義や西欧文学の現実主義への批判を込めて、その対極に位置する東洋趣味を高唱。『吾輩は猫である』『坊ちゃん』とならぶ初期の代表作。”
The First Line
”山路を登りながら、こう考えた。”
難解すぎた。でもわかるこの小説の良さ。余の哲学を読み解くにはまだまだ僕は未熟すぎたけれど、景色の美しさと人の温もりを表すこの文章はとても魅力的だった。
俗世を離れるという現実からの逃避は、何も現代にだけ起こることではなくて、この時代にもあったんですね。明治から大正、戦争、民主主義など、激動期であったこの時代も、住みにくい世であったと思うと、現代が特別ということでもないな。
夏目漱石さんのファンと言うのもおこがましいけれど、やっぱり好きだな。人間のありのままに触れられる気がする。ついつい、この時代いいなと思ってしまう。夏目漱石さんの小説において、女性の存在は一つの特徴であると僕は思う。
”智に働けば角がたつ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。”
好み: ★★☆☆☆☆