小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

対岸の彼女  角田光代 著

 

対岸の彼女 (文春文庫)

対岸の彼女 (文春文庫)

 

 

あらすじ

”専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが……。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。”

 

The First Line

”私って、いったいいつまで私のまんまなんだろう。”

 

角田光代著、「対岸の彼女」を読みました。

 

 

現代の人間関係をリアルに描いた小説。人間の残酷さを身に染みて感じた。

この小説では女性に焦点を当てていたけれど、これは男性でもそんな大差ないなと思った。まぁ男性の方が少しはあっさりしているんかな。

何かを起こそうとする人は嫌いやないけれど、いい加減で段取り悪い人は嫌い。葵みたいな人。

自分と異質なものを仲間はずれにする。仲間はずれにされたくないから周りに合わす。これが人間のコミュニティであり、もはやこれはどうしようもない本能的感覚なんやと僕は考えている。

愚痴を言うことは別に絶対悪いというわけではないけれど、醜い。愚痴ばっかりいう人ほど、自分を見ていない。

僕も元々はそうで仲間はずれを恐れていた時期もあったけれど、大学という社会に属した瞬間、こわいものがなくなった。つるむことが馬鹿馬鹿しくて、表面的な人間に飽き飽きした。今もそう思っている。だから、大学では全くもって孤立しているし、友だちなんて言うまでもなくいない。でも、それでいい。

本当の友だちって、そんな多いものやない。すぐ友だちって言葉出す人のことは信用できないし、まず僕は閉ざす。僕の考え方が正しいとは一概には言えないけれど、ただ、この淡白さは楽ですよ。これぐらいがちょうどいい。

僕は将来、どんなことがあっても奥さんの味方になり続けようと改めて決意した。

 

 

好み: ★★★☆☆☆