小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

すべて真夜中の恋人たち  川上未映子 著

 

 

あらすじ

”「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。」わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった――。芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編小説。”

 

The First Line

”真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。”

 

川上未映子著、「すべて真夜中の恋人たち」を読みました。

 

 

とても文学的で、フィクションらしい小説。

文章がとてもきめ細かくて、情景と心情の移り変わりと、「光」がとても繊細。一つ一つが崩れそうで、でも辛うじて文章がつながっているような印象。

とてもメッセージ性が強いなと感じた。登場人物それぞれが独特な考え方を持っていて、それが作者からのメッセージであり読者に教えたい光なんかな。正直、読んでいて少し窮屈だった。

この小説は、とても純粋でありながらも大人の恋愛という少し独特な内容になっていて、純粋な分その心情も初々しいところはある。でも、僕がこの小説から受けた印象は、「狂気」。登場人物、特に主人公の考え方と行動に恐怖さえ感じた。決してサイコな内容ではないけれど、僕にはどうしてもその印象から抜け出せなかった。

恋愛の在り方は人それぞれ。恋愛とセックスをつなげるというのは一般的なんかもしれないけれど、絶対的ではない。僕は、人が恋愛を語る時常に違和感を感じる。

 

 

好み: ★★☆☆☆☆