小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

凍りのくじら  辻村深月 著

 

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

 

 

あらすじ

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な”道具”が私たちを照らすとき――。”

 

The First Line

”白く凍った海の中に沈んでいくくじらを見たことがあるだろうか。”

 

辻村深月著、「凍りのくじら」を読みました。

 

 

長くてけっこう読みごたえあった。この世界観、好き。

読み進めどなかなか全体図がつかめなくて、先が霧に包まれているような感じ。S.F(少し・不思議)な雰囲気の日常が続く中で、終わりのないいつまでも読んでいられるような、そんな印象。でも俯瞰的に物語を見てみると、しっかりと一貫していて、だからこそこの雰囲気が保たれているんやろなと思った。

出てくる人物がとても個性的で、でもほんと実際にいそうな関係が面白かった。そこがすごく等身大で、僕自身S.F(少し・フラット)やからこんな関係に不在ないと感じるかも。

ドラえもんを、正直僕は最近あまり好きではないけれど、でもやっぱり偉大やなと改めて気づかされた。大人になってしまったな。

陰湿やけれど、優しい小説。実際にありそうで、でもフィクション。だから、S.F(少し・フィクション)と僕はこの小説を収める。

 

 

好み: ★★★★☆☆