小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

木暮荘物語  三浦しをん 著

 

木暮荘物語 (祥伝社文庫)

木暮荘物語 (祥伝社文庫)

 

 

あらすじ

小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、築ウン十年、全六室のぼろアパート木暮荘。そこでは老人大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の四人が、平穏な日々を送っていた。だが、一旦愛を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった……。”

 

The First Line

”「せっかくいい天気なんだし、どっか行こうか」「そうだね。でもいい天気だから、どこも混んでいそうだ」などと、坂田繭と伊藤晃生が日曜の昼下がりにアパートの一室でごろごろしゃべっていたら、大家の飼い犬のジョンが「ワン、ワン」と庭で吠えた。”

 

三浦しおん著、「木暮荘物語」を読みました。

 

 

生々しい人間の性への欲求が中心になっているから大人な小説ではあるけれど、愛の在り方と人と人との繋がりに基づく物語やからいやらしさではなくて爽やかさを感じられる。もっとほのぼのとした小説家と思ってた。

木暮荘の住人は、どこか個性的に思われるけれど、実際隣人ってそんなもんで、どこでも繋がりさえあれば気づくことなんかも。

人間である以上、日々の生活に性の欲求は生まれるやろし、愛を求めようとするやろし、一見他人の表からは見られないだけでみんな持っているものなんやろなと改めて考えさせられた。当たり前のことではあるねんけれども。

説明するのは難しいけれど、恋と愛は全くの別物で、またこの定義って人それぞれ違うんやと思う。性的欲求をどこに含むのかも人それぞれやし、この差こそが人間味だと僕は思った。

並木くんの純粋さ共感できるし、この小説のなかでは一番のお気に入り。

僕は、恋をしたことはあるけれど愛したことはない。あくまで自分の線引きに基づいています。

 

 

好み: ★★★☆☆☆