小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

ユージニア  恩田陸 著

 

ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)

 

 

あらすじ

”「ねぇ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ――。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いったい誰がなぜ、無差別殺人を?見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、果たして真実を語っているのか?日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー!!”

 

The First Line

”ユージニア、私のユージニア。”

 

恩田陸著、「ユージニア」を読みました。

 

 

恩田陸さんの世界観が今回も前面に出た、ミステリアスな小説。読み進めていくうちに、パズルのピースが一つずつはまっていく感じ。先が全く見えない感じ。でも、最後の1ピースをはめても絵が完成しない、そこにこそ醍醐味がある。

帝銀事件をモチーフとされた毒殺。動機はまったく見つからない。この、対極と言っていい2つの事象が尋常でなく違和感で、それぞれの主観が読者の混乱を招いて、そしてどんどん深い霧に迷わせる。

僕自身は、一番スタンダードな結末にたどり着いたと思っている。普通のミステリーで犯人当ての小説やったら絶対に許されないほどの曖昧さ。でも、このこと全体が正解で、だからこそ面白くて許される。

ユージニア。意味が深すぎてここにすべてが集約されていると思う。

読むのにまぁ頭使う。

 

 

好み: ★★★☆☆☆