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小説の浮かぶ空

日々読んでいく小説の感想を自由気ままに綴っていきます。

ねじまき鳥クロニクル  村上春樹 著

 

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

 

 

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

 

 

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

 

 

あらすじ

〈第1部 泥棒かささぎ編〉”「人が死ぬのって、素敵よね」彼女は僕のすぐ耳もとでしゃべっていたので、その言葉はあたたかい湿った息と一緒に僕の体内にそっともぐりこんできた。「どうして?」と僕は訊いた。娘はまるで封をするように僕の唇の上に指を一本置いた。「質問しないで」と彼女は言った。「それから目も開けないでね。わかった?」僕は彼女の声と同じくらい小さくうなずいた。(本文より)”
〈第2部 予言する鳥編〉”「今はまちがった時間です。あなたはここにいてはいけないのです」しかし綿谷ノボルによってもたらされた深い切り傷のような痛みが僕を追いたてた。僕は手をのばして彼を押し退けた。「あなたのためです」と顔のない男は僕の背後から言った。「そこから先に進むと、もうあとに戻ることはできません。それでもいいのですか?」(本文より)”
〈第3部 鳥刺し男編〉”僕の考えていることが本当に正しいかどうか、わからない。でもこの場所にいる僕はそれに勝たなくてはならない。これは僕にとっての戦争なのだ。「今度はどこにも逃げないよ」と僕はクミコに言った。「僕は君を連れて帰る」僕はグラスを下に置き、毛糸の帽子を頭にかぶり、脚にはさんでいたバットを手に取った。そしてゆっくりとドアに向かった。(本文より)”

 

The First Line

〈第1部 泥棒かささぎ編〉”台所でスパゲティーをゆでているときに、電話がかかってきた。”
〈第2部 予言する鳥編〉”間宮中尉をバスの停留所まで見送ったその日の夜、クミコは家に帰ってこなかった。”
〈第3部 鳥刺し男編〉”前からずっとねじまき鳥さんに手紙を書こう書こうと思っていたのだけれど、実はねじまき鳥さんの本当の名前がどうしても思い出せなくて、それでついつい書きそびれていたのです。”

 

村上春樹著、「ねじまき鳥クロニクル」を読みました。

 

 

圧倒的な長さと密の濃いストーリー。妻の失踪という一見どこにでもあるような単純なベースではあるけれど、そこからの展開はさすが村上春樹さん。

あまりに抽象的すぎて、途中物語に置いて行かれながらもなんとか読破。読み終わって感じたことは、この物語には物理的な結末はあってもゴールは人それぞれ違うやろなってこと。「僕」は一体なんだったのか、「ねじまき鳥」は一体なんだったのか、これらをどう解釈するかは1つの正解では収まり切れないと思う。正義と悪、孤独の果て、そして本質的なエロス。僕はこれらをキーワードに読んだ。

人がどんどん周りからいなくなる孤独感。大切な人を追いかけ続ける純粋さ。たぶん、共感するのは僕だけではない。どこにでもあるような感情を、抽象的に等身的に書かれているからこそ物語に吸い込まれるんやろな。これが村上春樹さんの小説に中毒性がある理由の一つなのかも。

ねじまき鳥の声が聞こえた時、僕の人生はどのように変わるかな。そして、どこにねじは存在するんやろか。

 

 

好み: ★★★★☆☆