龍神の雨 道尾秀介 著
あらすじ
”添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母とささやかな生活を送る。蓮は継父の殺害計画を立てた。あの男は、妹を酷い目に遭わせたから。そして、死は訪れた。降り続く雨が、四人の運命を浸してゆく。彼らのもとに暖かな光が射す日は到来するのか?あなたの胸に永劫に刻まれるミステリ。大藪春彦賞受賞作。”
The First Line
”「今日、お兄ちゃんより帰り遅くなるからね」添木田蓮が台所のテーブルでテレビの気象情報を見ていると、妹の楓が玄関で振り返った。”
道尾秀介著、「龍神の雨」を読みました。
うまい具合に騙されて、展開を読めたとき思わずおぉ~とつぶやいてしまった。「向日葵の咲かない夏」の衝撃を覚えていたから覚悟はしててんけどな。ただ、結末が僕の嫌いなバタバタパターン。
親を失い、哀しみを抱える兄弟たち。それぞれの複雑な家庭環境とそれぞれの心情が、天気に反映されてて終始暗い雰囲気に包まれていた。一度も雨あがらんかったね。雨さえなければ、すべてが良い方向に向かっていたんかな。継父と継母の思いにも注目。
思い込みって怖い。思い込み一つで殺意も芽生えるし、思い込み一つで相手を否定することは容易。信じるのは難しいけど、疑うのは簡単。その時の気持ちの問題もあるけど、これは仕方がないことなんかもな。思い込みが怖いってことを知っているだけでも、だいぶ真実を見られるようになると僕は思う。
「青の炎(貴志祐介 著)」と設定が少し似ていた。
好み: ★★★★☆☆